留学について
グローバル化社会への対応として学生時代に留学することは貴重な経験で、その後の就職で有利になったり、人生を豊かなものにすることができます。数理科学コースでは、日本学生支援機構(JASSO) の留学支援プログラムに採択された独自の留学プログラムとしてヨーロッパの大学に数理科学を学ぶことができる「エンバイロメンタルイノベータ育成プログラム」と米国グアムやフィリピンで理学や環境学を学ぶことができる「環太平洋グリーンサイエンスプログラム」を推進して学生が国際経験を積む支援を行っています。
詳しくは(https://www.crossover.riko.akita-u.ac.jp/studyabroad/)を参照してください。
数理科学コースの学生4名が理工学部の留学プログラム「エンバイロメンタルイノベータ育成プログラム」に参加してヨーロッパに3か月の留学に派遣されました。
3名の学生(秋元さん、佐山さん、今野さん)はスロバキアのComenius Universityに3か月滞在しておのおの、幾何学、代数幾何学、代数学に関する各自の研究を進めます。
1名(佐々木さん)はハンガリーのUniversity of Debrecenに3か月滞在して計算機科学の研究を進めます。










フィリピン大学留学体験報告
秋田大学 総合環境理工学部
環境数物科学科 2年
大同 敦志

ジプニーとは何でしょうか。フィリピン大学ロスバニョス校の近くに広がるバイ湖は、どのような色をしているのでしょうか。また、キャンパス内にいる野良犬や野良猫は、一日をどのように過ごしているのでしょうか。フィリピンの伝統的な卵料理は何でしょうか。さらに、フィリピンで人気のあるスポーツや、国民的ファストフード店、フィリピン大学ロスバニョス校の敷地内に含まれる山の規模についても、皆さんは想像できるでしょうか。
少し唐突に質問から始めてしまいましたが、これらは、私がフィリピン大学ロスバニョス校への留学を通して実際に学び、体験した事柄の一部を質問形式にしたものです(これらの答えは、最後に写真とともに紹介します)。
私は2026年2月15日から3月23日までの約5週間、フィリピン大学ロスバニョス校に留学しました。「フィリピン」と聞いて、南国の島国、バナナ、ビーチなどを思い浮かべる方も多いと思います。私が現地に到着して最初に感じたことは、率直に言って「とにかく暑い」ということでした。フィリピンでは一年を通して夏のような気候が続き、最高気温が30℃を超えることは日常的です。現地の方から「27℃は涼しい方で、夏には50℃近くになることもある」と聞いたときは半信半疑でしたが、その日は27℃で、実際に長袖を着ている現地の方を見て、その言葉が決して誇張ではないと感じました。
留学当初は、食事や生活への不安、英語でのコミュニケーションに対する緊張もありました。しかし、留学をサポートしてくださった秋田大学の福山先生、フィリピンまで同行してくださった大学院生のYlamさん、現地大学のJen先生、Din先生、そしてフィリピン大学ロスバニョス校の国際課職員や学生の皆さんが親身になって支えてくださったおかげで、結果的には「過度に心配する必要はなかった」と感じています。
支援してくれた方々の写真






フィリピンの人々は非常に明るく親切で、初対面でもすぐに打ち解けることができました。授業内外を通して多くの人と交流する機会があり、こうした人との関わりが留学生活をより充実したものにしてくれました。
現地の方との交流の写真






授業はすべて英語で行われ、主に森林学に関連する分野を学びました。フィリピン大学ロスバニョス校は、同国を代表する国立大学であり、特に森林学や農学分野で高い評価を受けています。集水域、火山、岩石学など、日本ではあまり触れる機会のない内容を学ぶことができた点は大きな収穫でした。また、フィールドワークとして実際に山や川に入って調査を行い、これは日本ではなかなか経験できない貴重な体験でした。
フィールドワークの写真






留学当初は、英語で行われる授業についていくことで精一杯でしたが、3週目以降になると徐々に内容を理解できるようになりました。その結果、「授業を受ける」立場から「授業に参加する」感覚へと意識が変化しました。「授業に参加できた」という実感を得られたことは、大きな自信につながりました。この経験を通して、国際的な環境で学ぶために求められる英語力の水準を実感し、今後さらに英語力を伸ばしていきたいという強い意欲が生まれました。
授業風景の写真




今回の留学は、楽しいことだけでなく、大変なことも含めて多くの学びと発見がある貴重な経験でした。それでも私は「行ってよかった」「また留学したい」と心から感じています。留学は特別な出来事のように思われがちですが、実際には生活し、授業を受け、人と関わるという日常の積み重ねです。一つひとつに落ち着いて向き合えば、過度な不安を感じる必要はありません。これは、留学前の自分自身に伝えたい言葉でもあります。もし留学に少しでも興味がある方がいれば、ぜひ前向きに検討してほしいと思います。
最初の質問の答えと写真
冒頭の質問に対する回答です。
Q,ジプニーとは何でしょうか。
A,フィリピンでの大型タクシーのようなもので、フィリピン全土で愛用されています。大学内にもジプニーが走行しており、現地学生の移動手段の要です。

Q,フィリピン大学ロスバニョス校の近くに広がるバイ湖は、どのような色をしているのでしょうか。
A,茶色です。ただ、現地の方曰く、魚はいるそうです。


Q,キャンパス内にいる野良犬や野良猫は、一日をどのように過ごしているのでしょうか。
A,人間がいることなどお構いなしに、自由気ままに過ごしています。フィリピン大学ロスバニョス校内にも外にもおびただしい数の野良犬・野良猫が住んでいます。ただ、ワクチン等の摂取を行っている学生団体があったり、普通に人と触れ合ったり、そこまで狂暴ではありません。(ちなみに、渡航前に狂犬病のワクチンを接種しました。)

Q,フィリピンの伝統的な卵料理は何でしょうか。
A,バロット。フィリピンの伝統的な料理の一つで、イメージとしてはゆで卵が近いです。ただし、ゆでる卵が通常の黄身と白身からなる卵ではなく、黄身から生体へと変化している途中の卵です。味は普通においしかったと思いますが、見た目が少々グロテスク。正直、味どころではありませんでした。フィリピンの方でも、苦手な方、食べたことのない方は沢山いました。(グロテスクな画像が苦手な人は飛ばしてください。)



Q,フィリピンで人気のあるスポーツは何でしょうか。
A,ビリヤード。フィリピンで人気の3大スポーツというものがあって、バスケットボール・ボクシング・ビリヤードだそうです。新鮮でとても楽しい体験でした。

Q,フィリピンの国民的ファストフード店は何でしょうか。
A,Jollibee。フィリピン発祥のフライドチキンがメインの国民的ファストフード店で、イメージとしてはKFCに似ています。日本にはないらしいです。

Q,フィリピン大学ロスバニョス校の敷地内に含まれる山の規模はどのくらいでしょうか。
A,山丸々一個分。とてつもなく広い(校内をジプニーが走るほどに)。下の画像に写っている山が丸々フィリピン大学ロスバニョス校の敷地内です。それから、4月にはラフレシアが咲くらしいです。




留学体験記
数理科学コース4年次
佐藤龍之介
私は、2022年6月から2023年4月の間、カナダのセントジョンズに位置するニューファンドランドメモリアル大学に留学していました。私は留学の相談に行った時期が遅かったので学生ビザの申請が直前になってしまったことやそもそもコロナウイルスの影響で留学が行けなくなる可能性があったことなど、様々な心配事がある中での留学でした。しかし、国際課の担当の方と留学準備を進めていったことで予定通りに留学を開始することができました。
まず初めに、私はコーナーブルックのグレンフェルキャンパスで6月から8月までESLのサマープログラムに参加していました。これは、留学当初、私の提出したTOEICのスコアが語学条件を満たしておらずESLを卒業した後にコンピュータサイエンス学科の授業を履修できることになっていたからです。ESL当初は、英語力不足で友達ができるか不安でしたが、ESLには多くの韓国の学生が参加しており、他にも派遣先大学の一年生も参加していた為、課題や試験の他に日常的に彼らと関わる中で親しくなり、多くの友達ができました。またESLでは、ペアでのインタビューやグループでの劇などのグループ課題が多く、練習の為に放課後や夜に皆で集まり練習したり休憩の合間に買い出しに行ってご飯を作って食べたりするのが非常に楽しかったです。
無事にESLを卒業した後は、9月の秋学期からセントジョンズキャンパスでコンピュータサイエンスについて勉強しました。具体的には、ネットワークシステムに学ぶ講義やSQLを用いてデータの扱い方やその仕組みについて学ぶ講義、その他にもコンピュータグラフィクスの講義や効率的なアルゴリズムを考える講義、計算複雑性に学ぶ講義を受講していました。特に印象的な講義は、コンピュータグラフィクスに関する講義”3301 Visual Computation and Applications”です。PythonのOpenCVというライブラリを用いて、実際に、写真の物体の輪郭を検知するプログラム(Edge-detection)を作る課題で、初めは全くできませんでしたが徐々にPythonの書き方やコーディングの仕組みなどが分かりプログラムが形になっていくのが楽しかったです。また、”3201 Introduction to Nature-Inspired Computing”という講義では、コンピュータが問題を解く上での最適化のプロセスがどのようになっているか、さらにそれをプログラムを書きながら学びました。この講義の課題は、Javaでコーディングを行うのですが、初めは書き方をほとんど知らなかったことに加え、この講義が3年生向けの講義である為、周りに置いて行かれていました。しかし、おいて行かれているのが悔しかったのでクラスの学生に聞き、教授に相談しながら課題に取り組んでいきました。その結果、Javaでのコーディングにも慣れ、最終的課題では満点をもらうことができました。以上のような経験は、今後エンジニアとして働きたいと考えている私には、コーディングについてしっかり学ぶ良い機会になりました。
また英語の面では、授業や生活をしている時にESLを卒業したけれども英語力が足りないと感じることが何度もあり、辛く感じるときもありましたが、ESLからの友人や寮の友達、授業で親しくなった学生とコミュニケーションを取る中で着実に英語力を養うことができたと思います。また、冬休みには約一週間のニューヨーク旅行に行きました。その時には、乗り継ぎ便のフライトに乗り遅れるというトラブルがありましたが英語で自分の現状や要求を伝えることができ予期せぬトラブルにも対処することができました。また、ニューヨーク旅行は、初めての海外旅行だったので非常に楽しく多くの貴重な体験をすることができました。秋学期には、英語力に自信が付いてきていたので、現地の3,4年生向けの講義を履修しました。特に、4年生向けの講義で履修した計算複雑性に関する講義はとても興味深く、今後の研究のテーマにしようと考えています。
10カ月間の留学で、新しい環境で生活し英語を通して友達もでき生活にも慣れていきました。最終的には、セントジョンズの街を離れるのが寂しかったです。将来的には、エンジニアとして海外で就職したいと考えているので、今後も英語の勉強を継続し、エンジニアの経験をする為にエンジニアインターンシップに参加するなどの”私が今やりたいこと”に色々と挑戦していきたいです。




留学プログラム「グローバルイノベータ育成プログラム」による留学
数理科学コース4年次の伊藤ゆきのさん(山村-Fazeks研究室)が理工学部の留学プログラム「グローバルイノベータ育成プログラム」による留学に参加しました。伊藤さんはスロバキアのComenius Universityに3か月滞在して機械学習などの授業やセミナーを受講して卒業課題研究も実施しました。
伊藤さんの報告
私は2022年10月17日~2023年1月11日までの3カ月、スロバキア、ブラチスラバにあるコメニウス大学のmathematics, physics and informatics 学部に日本学生支援機構(Jasso)の留学支援プログラムを利用して留学しました。
3カ月間大学の寮で、ボスニアとスロバキア出身のルームメイト2人の3人部屋で過ごしました。
コメニウス大学にはたくさん学部があり、学部によってキャンパスの場所も違います。私が留学したmathematics, physics and informatics は寮から徒歩15分くらいの場所にあったので歩いて通学していました。mathematics, physics and informatics学部の中には、食堂、カフェ、図書館、自習室だけでなく、ハンモックやソファがありゆっくりできたり、ゲーム用のパソコン、庭には大きなチェス盤があり色々なことができました。授業は、現地についた日の翌日からセミナーを受けました。

授業
・introduction to computational intelligence
マスターコースのセミナーが週2回で行われ、2人の先生がセミナーをしてくれた。先生がスライドを映して進めていく形で、動画やシミュレータを使って詳しく説明もしてくれた。
内容としては、AI、回帰分析、確率論、クラスタリングなど機械学習に関係していることを学んだ。秋田大学で学んだ内容もあったので内容としては難しくない印象だったが、やはり英語だったため、言っていることの雰囲気は分かるが全部を完璧に理解することはできなかった。セミナー中は、質問や意見があったらその場ですぐに聞き、みんな理解できたら次のトピックに移っていく感じで進めていく。生徒と先生間で話し合うだけでなく生徒同士で考えを深めていくこともあり、1人が質問したら先生だけでなくクラス全員が意見を出し合うこともある。その日のトピックに関することだけではなく、以前扱ったトピックとの関連性など、些細なことでも質問していた印象だ。


・introduction to cognitive science
これもマスターコースのセミナーで、ロボットやモデリングについて学ぶ内容だった。今まで勉強したことない内容だったため、聞いたことのない単語が沢山出てきたし、授業で扱うトピック量も多くintroduction to computational intelligenceと比べるとかなり難しかった。
・linear coding
これもマスターコースの授業でした。5週遅れくらいで受講したうえに、勉強したことない内容だったため授業内容を理解するまでかなり時間がかかった。予習をしっかりしていけば授業内容の7割くらい理解できた。内容はとても面白かった。

・probability measure and mathematical statistics
この授業は、教科書を読んで各自で勉強する感じでした。12月くらいにテストがあって教科書の問題に似ている問題が出題された。自分でデータを探して分散や標準偏差、信頼区間などを計算する内容の課題と、教科書の内容と課題に関する口頭試問も課された。ペーパーテストと課題は難しくなったが口頭試問が覚えることも多く、かつ英語で伝えることが本当に大変だったが、どうにか伝えようと諦めずに説明した。先生も優しく、伝えたいことをくみ取ってくれ良い評価ももらえた。
寮生活
寮費は最初にデポジットとして約160€、加えて月に約55€現金で払っていた。寮にはゲートがあり、専用のカードキーがないと入れない。またゲートには24時間監視してくれる人がいるため、外からのセキュリティは万全だった。
スロバキア出身とボスニア出身の2人と3人部屋で過ごした。部屋にはベッド(ベッド下に収納あり)、机、タンスみたいな収納がそれぞれ3つずつ、冷蔵庫が1つ、洗面台1つ、Wi-Fiがあった。小さいキッチンとトイレとシャワーはワンフロア(20~30人くらい)で共用していた(寮によっては4~6人で共用するところもある)。週4日くらいで清掃してくれた。
ご飯は、近くのスーパーで買って食べるか、寮にある2つの食堂で済ませていた。祝日やホリデー以外毎日朝から晩まで営業していて、朝ご飯は0.9€~1.5€、昼と夜は2€~3€くらいの値段で食べられる(ISICがないと5€かかる。ISICとは国際学生証のことで私は現地で発行し、2週間くらいで発行できた)。コカコーラよりスロバキアのオリジナルコーラの方が人気らしく食堂にサーバーがある。




寮にはコインランドリーがあり洗濯機、乾燥機それぞれ1回2.75€で使える。ボクシング、ムエタイができるジムがあったり、留学生の交流場所、勉強スペース、ベッドシーツ等を週一回変えてくれるサービスもある。
交流
9月の学期初めにwelcome party というイベントが1週間毎日あるが私が行ったときは授業が始まってから4,5週経っていたため参加できなかった。コロナ前よりは減ったそうだが月1回はボーリングやシティーツアーなど何かしらのイベントがある感じだった。コメニウス大学以外にも、スロバキア内の学校主催のイベントや、一般の人主催のイベントがあり、参加したければSNSでチェックして自分で申し込む形になる。私もコメニウス大学の学生団体主催の他の国の料理を食べるというイベントに参加した。他にも友達とウィーンに遊びに行ったり、クリスマスマーケットに行った。


感想
入学当初からずっと留学をしたいと思っていたがコロナになり、あっという間に4年生になっていた。楽しいことばかりではなく辛いときもあったが沢山の価値観に触れ、英語でコミュニケーションをとれたことで自信がつきこれからのモチベーションにもなった。卒業課題研究はスロバキアで勉強したことをもとに、英語で行った。4年の後期から留学に行くのも少し不安があったが、スロバキアで出会った人含め、先生、学務、家族の支えのおかげでとてもいい経験になった。本当にありがとうございました。

